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札幌地方裁判所 昭和62年(ワ)2346号 判決

(抄録)

「 三 債務不履行

Yらの主張する債務不履行の抗弁について判断する。

1 Mの債務不履行

<証拠>を総合すると、以下の事実を認めることができ、以下の認定を覆すに足りる証拠はない。

(一) M広島支社営業社員A、B、同会社特約店OA広島○○○○ことCらは、昭和五九年三月初めころ、本件機器をY1の経理事務の用に供するため、Y1との間で本件リース契約の交渉を進めた。

この間、XとYらとの間には、電話、面談を含め直接の折衝は一切なかった。

(二) 右交渉の過程で、同人らは、MからY1に対し、本件機器のほか、Y1の業務実体に適合するように機器を作動させるため特別注文のプログラムを組んだソフトを、契約締結後数か月以内に完成して引渡すことを約した。

(三) ところが、Mは、昭和六一年九月ころ、破産したことにより右ソフト供給債務について履行不能に陥り、本件リース契約の目的物はコンピューターとしての機能を喪失するに至った。

2 XとMとの関係

<証拠>を総合すると、以下の事実を認めることができ、以下の認定を覆すに足りる証拠はない。

(一) Xは、Mとの間で、昭和五七年八月二三日、次で、昭和五九年一〇月一日、以下の内容の業務提携契約を締結した。

(1) Mがユーザーからリースの引き合いを受けたときは、X所定のリース契約書に必要事項を記載しユーザー及び連帯保証人に署名・記名捺印させ、Xに申し込む。

(2) Xは、特別の事情がない限り、右申込みのすべてについてリース契約を引き受ける。

(3) 右申込みによってXがMから買い取る物件の購入価は、一年間でその都度定めた一定の金額を超えないものとする。

(4) 本提携によるリース契約に適用するリース料率はあらかじめ定めたとおりとする。

(5) 本業務提携契約に基づくXとユーザー間の全リース契約に関し、ユーザーのリース料について遅滞が発生したときは、XはMに対し書面でその旨通知し、遅滞が三回に及んだときはユーザーとの契約を解除し、MはXに対し、一定の算式により計算された金額についてユーザーと連帯して当該契約の保証債務を履行する。

(6) ユーザーがリース契約書に従い遅滞なくリース料の支払を履行しかつリース期間の中途で物件の入れ替え等の理由によりリース契約の解除をMを通じて申し出て、Xが認めた場合の契約解除にともなう清算金は、リース契約書が規定する規定損害金にかかわらず、前記保証金額の算式に従う。

(二) XとMとの間には、昭和六一年九月ころも、ほぼ同様の内容の業務提携契約が存在した。

(三) Xは、Mに対し、リース契約申込書、リース契約書、預金口座振込依頼書のほか、データー通知票、契約禀議書等のX内部書類などまでも、カーボン複写式で一綴りとなったものを保管させ、Mは購入者に対し、商品購買の勧誘のみならず、Xとの間のリース契約締結手続の一切を行ない、これらの書類をXのもとへ持ち込むことになる。

Xは、持ち込まれたリース契約を決裁するに当っても、顧客の信用調査をしないで、継続的契約関係にあるMの信用調査のみを信用することになる。

Mは、顧客がMの特約店の場合、第一回目のリース料を立て替えて入金してリース契約を成立させ、またユーザーの場合には第一回目のリース料を代理回収してXに入金してリース契約を成立させることになる。

Xは、リース物件の検収手続を全く行なわないばかりか、物件借受書の徴収、物件納入についての電話確認等の手続も一切しない。

Xは、リース契約の承認について、顧客に対する関係ではMの商品の販売行為等を通じてなされるだけであり、リース契約締結にあたり特約店やユーザーと直接接触の機会をもつことをしなかった。

3 Xの帰責原因

(一) 以上認定した事実によれば、本件リース契約は、提携リース契約であって、XはMに対し、契約者の選定、契約申込手続、与信手続、リース料の徴収手続に至るまで、契約手続全般にわたり権限を授与していたものであり、Mは本件リース契約について、Xから代理権を授与されていたものとみるべきである。

そうだとすれば、本件リース契約の目的物は、本件機器のほかソフトを含むものであって、M及び同社と特約店間の継続的関係の存続を前提としてはじめてその機能を発揮するものであり、Mは特約店を通じてユーザーに対し、ハード、ソフト、アフターサービスを継続的に供給する債務を負っていたものということができる。

(二) 先に認定した事実によれば、Xは、Mとの間で、少なくとも昭和五七年ころから緊密な業務提携契約を締結し、昭和六一年ころには年間三〇億円余にものぼる購入協定をしていたものであって、Mに与信の基礎をおき、実質的、経済的な一体性を有していたものであるから、Mを第三者であるとしてY1のMに対する抗弁事由の切断を主張するのは信義則に反して許されないというべきである。

(三) この点について、Xは、本件リース契約には、ユーザーはリース物件について検査を遂げ、完全な状態で売主から引渡を受けたことを確認すること、リース会社は、リース物件の瑕疵について一切の責を負わず、隠れたる瑕疵があったときも、ユーザーは売主との間でその解決を行ない、リース会社に対しては一切の請求をしない旨の約定があると主張する。

しかし、先に認定した事実によれば、前記のとおり、XとMとの間に密接な業務提携関係があり、実質的、経済的一体性があり、しかも、本件リースは本件機器のほかY1の業務に適合したプログラムを組んだソフトを含んでいたにもかかわらず、MからY1に対しソフトを供給できないためにコンピューターとしての機能を喪失し、本件リース契約の目的を達成できないものであるということができる。したがって、本件リース契約に瑕疵免責特約があったからといって、XがYらに対し、右特約を主張することは信義則上許されないものというべきである。

4 まとめ

<証拠>によれば、Yらは、Mが倒産したことによりMが前記債務の履行不能になったことが確定した昭和六一年九月ころ、Xに対し、本件リース契約を破棄する意思を表示することにより、本件リース契約を解除する旨の意思表示をしたことを認めることができる。

したがって、Yらのリース料支払義務を前提としたXの損害賠償請求権は発生しないものというほかはない。

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